真藤順丈「宝島」

日本の敗戦後の1952年から1972年(返還)までの、アメリカ統治下に置かれた沖縄の姿をフィクションではあるが、かなりの部分は事実の基づいた内容である。我々がこの当時の沖縄での生活が実際どうであったか断片的にしか知らないように思う。沖縄は何故あれほど反米、反本土なのか、この本を読むと理解できるような気がする。1972年日本に返還されたものの、中身はアメリ統治時代とほとんど変わりはなく日本政府はアメリカの要求通りの政策を続けているからだ。
 アメリ統治時代の生活は実際どうであったかはこの本に書かれているが、米軍施設嘉手納基地に侵入しての物資を盗んで、さばいて生活の糧とした若者たちの姿を生々しく描いている。そんなことを続けているうちに銃撃され命を失ったり、命からがら逃げ切るなどそんな生活を続けながら若者たちは後に泥棒だった人が琉球警察の警官になったり、やくざ者、学校教師にと成長していく。
 フィクションながら占領下の実在の事件、刑務所暴動事件、嘉手納幼女殺人事件、米兵による性暴力、殺人事件、米軍機が小学校に激突した児童を含む多数の死傷者を出した墜落事故、禁止されているはずのVXガス漏洩事件など多くに事件に関わるコザ暴動などが絡んで描かれている。
 日本復帰ご変わったことといえばVISAが不要になったこと、ドルから円に変わったことくらいしかないという。日本復帰を望みながら裏切られた気持ちから、逆にヤマトンチュウに反感を持つようになって行く姿が窺われる。500ページを超える長い作品だが沖縄を理解するためには一読する価値がある。
 

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