森絵都「ラン」

バスの事故で両親、弟を失い13歳の少女の環だけ生き残り一人ぽっちになってしまう。叔母に引き取られて育てられるが、その叔母も大学在学中に癌を患って亡くなってしまう。本当の一人ぼっちになってしまった環は大学も中途で辞めざるを得なくなり、パートタイムで働きならその日暮らしの生活となってしまう。しかし、心は一人ぼっちになるのではなくいつの間にか死んでしまった家族たちの世界、冥界に近づくような気持ちのなっていく。あの世には2つのステージがあるのだという。亡くなってまだこの世からそれほど遠くない冥界にいる間の人たちとは生きている自分と接触、話すこともできるのだ。冥界に行ってしまった両親、弟、叔母もあちらの世界で結構楽しそうに暮らしてる様子が伺える。そんな空想めいた世界の話と現実の生活の中を行ったり来たりしながら生きている。ある時マラソンをやらないかと誘われ8人の仲間と目標に向かって走るようになる。その目的というのがマラソンの42.195kmではなく冥界に行けるための40kmを走り抜くためであったが、仲間と一緒に走るうち生きていることは辛いことばかりではないと思えるようになっていく。足を引っ張る仲間もいるけど手を引っ張ってくれる仲間の方が多いことを感じながら次第に環は強くなっていく。
 なんだか現実ばたれした世界の話だけれど読み終わった後清々しい気持ちになれた一冊であった。

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