河崎秋子 「肉弾」

ワンマンな父のもとで育った貴美也は大学を休学ちゅうのニートである。そんな息子を何とかしようと狩猟の免許をとらせ北海道の摩周湖付近に連れ出す。ここは国立公園内で当然ながら禁猟区であるのに無視して大物の雄鹿を仕留めるためにカルデラ地帯の奥深くに入り込む。ところが鹿ではなく突然ヒグマが襲いかかり、ウインチェスター銃を構える暇もなく父は腹を割かれて死んでしまう。一人取り残された貴美也にうしろから気持ちの悪い唸り声が迫ってきた。それは複数の犬たちであった。ピレネー犬、チワワ、白黒のポインター犬など数匹が自分を襲ってきた。そのなかで最も大きいピレネーが親分らしい。その犬の首にに自分が犬のようになって噛みつきながら格闘の末犬に打ち勝つ。負けたピレネーは亀美也に恭順を示すようになる。勿論他の犬たちも。よく見ると元は飼われていた犬たちのようでピレネーだけでなく他の犬たちも首輪をつけているものもあった。本当な野犬ではないためか飼われていたときの人間を思い出したのだろう。オオカミと違って、人間に従属する歴史を繰り返した犬は純粋に野生には戻らないのだろう。人間を他の動物とは区別した行動をとる。熊は自分以外の動物はすべて敵として認識するという。父を襲って熊が帰ってきて貴美也を襲うがこのとき戦った犬たちが必死で熊に飛びかかり亀美也を救うのである。父が必死で叫んだ言葉、あらかじめ万が一の時の救助を依頼していた事実を知り覚醒するのであった。人間と捨てられた犬たちとの絆の話である。
 著者は羊飼いが本業なので動物のことに詳しいのだろう。

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