篠田節子 「肖像彫刻家」

この小説の主人公高山正道は、私立美術大学をトップで卒業後それなりの評価を得るも、うだつが上がらず妻と息子に逃げられる。失意の中、先輩に誘われイタリアで修業。ロストワックス鋳造法など学び、いろいろな技術を身につけることはできたが、それで身を立てるまでは至らず8年後帰国する。イタリア滞在中に両親が亡くなっていたことも知らず帰国。姉の協力で八ヶ岳の南麓に家を借りて一人で注文彫刻家として生きる道を選ぶ。そこで初めての仕事としてお寺の住職から武田勝頼の娘雪姫の銅像の作成を依頼される。ところが、実物がないので写真をみて立体像を作成しなければならない。見事なできばえに住職も感心する。さらに雪姫の胸像も依頼される。ところが雪姫が不思議な行動をするとか、参拝者が願掛けをしたら叶ったとかそれがひろがり評判になる。すばらしい彫像には魂が宿るという。新体操実演中の恋人の等身像の注文をうけたり、有名人の元妻から主人の銅像を依頼され、嫌がらせのために遺産を横取りされた後妻が継いだホールに設置するなどの仕事も受ける。注文彫刻であってもそこには平面写真から立体像を創造しなければならないので、そこには自前の表現力を活かすことはできる。あくまで自分の芸術を捨ててはいないようだ。
 奇々怪々でミステリアスな話も楽しみながら読むことができた。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント