遠田潤子 「銀花の蔵」

絵を描くことに趣味を持つ尚敬は絵画カフェで、生まれたばかりの赤子を抱いて雪の降る寒い赤線の街を裸足であてどなく歩く美しい女性を見かけ、その境遇に見過ごせないものを感じ事情を聞くことになる。それがもとでその女性と結婚することに。その時の赤子はまだ名前もなかった。雪に因んで銀花と名付けるのであった。
 本書はその銀花の昭和初期から平成いたる一生を書いたもので血縁の無い家族愛の小説である。尚敬は歴史ある醤油蔵の長男として育つが蔵を継ぐ気がなく絵を描くことで生計を立てようとするが認められないまま仕方なく醤油蔵の仕事をするが身が入らない。本当の父は誰だか分からない銀花を尚敬は本当の娘のように可愛がる。一方、血の繋がった尚敬の妹は暴走族の不良と付き合い家を出ていってしまう。銀花の母は美しく優しく夫に一生懸命つくすが、万匹癖の病気があり家の内、外でいろいろトラブルを起こす。それが原因で銀花の友達の剛が母を庇うため喧嘩で不良仲間を死なせてしまう羽目になる。正当防衛ではあるが死なせてしまった以上そのままというわけにはいかず、少年院送りとなる。銀花はのちにその剛と結婚して、蔵の仕事を引き継ぐのである。血のつながりが全くない他人同士が蔵を継ぎ、その子孫達が引き継ぐ。血のつながりに泣く壮大な家族愛の物語である。

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