渡貫淳子「南極ではたらく」

既婚で子供もいる家族の主婦の著者が料理人として南極大陸の越冬隊員に応募する。1、2回目は書類選考で落選するも3度目に合格。第57回越冬隊に参加することになり、いよいよ準備に取り掛かるところから始まる。南極に行ってしまえば、現地で食料を調達することはできないので、参加する30人の1年分の食材を具体的なメニュウも考えながら準備しなければならないことは当然である。今までの都会での生活とは何もかも大変違う。極夜では太陽が全く登らない日が続く。おまけに冷凍庫のような環境で食材の貯蔵の問題。冷凍できるものとできないものをどのように工夫するか。食べ残しや、汚れた水を捨ててはならない。風呂のは1ヶ月に1回くらいしか入れない。などなど考えるだけで気が遠くなるような生活の連続だ。残った食材を混ぜご飯のおにぎりにしたり工夫する。今日の新聞で問題になっているがコンビニなどで8%の食材が捨てられている現実をどうするのかもっと真剣に考えるべきだろう。この本にも書いてあるが、第一次越冬隊の隊長だった西堀栄三郎の言葉が思い出される。「やってみなはれ」という言葉である。自分はまだ30歳代の頃、当時はどの会社でも品質管理に取り組んでおり、年一回全国品質管理大会というのがあった。その時の基調講演で南極から帰った西堀氏が越冬の体験談を例に話をされた。著者の57年前の体験談である。今と違って全てが足りない時代でのことでだ。まず、日本の船が南極に着く前に氷に閉ざされ進めなくなってしまってソ連の砕氷船に助けてもらって脱出したことを自分もよく覚えている。やっとの事で越冬隊がなんとか現地に到達したものの今度はあらゆる資材が足りない。雪を溶かして水を作るがどうやって運ぶか。水道管がないので縄を巻きながら水をかけて凍らせて水道管をこしらえた話をされた。この時の体験が「やってみなはれ」である。人間は極限の環境に置かれた場合どうしたら良いのか今一度考えてみるのも良いのではなかろうか。今の子供たちは恵まれすぎて、そのようなことに気がつかない。ないのは社会が悪い、政治が悪い、親がわるい、友達が悪いなどと自分以外が悪いのだと逃げてしまっているのではなかろうか。若者に読んでもらいたい本である。この本には他にも考えさせられることがいっぱい書かれている。

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