冲方丁 「麒麟児」

鳥羽伏見の戦いで勝利した官軍は慶喜追討令をうけ、江戸に迫りつつあった。軍事取り扱の勝海舟は大軍を率いる西郷隆盛とのの和議交渉を挑むための決死の策を練っていた。西郷軍の兵站を拒むための江戸を業火で包み焼き尽くす焦土戦術を切り札として、山岡鉄太郎に西郷への手紙を託す。そのときの案内役に捕らえていた西郷側の益満休之助を伴わせる。その結果西郷からの非戦の条件を持ち帰るものの慶喜の結論は降伏条件をすべて拒否であった。さて海舟はどうしたものか・・・・
 この本のほとんどが勝と西郷が対峙した2日間の緊迫した会談に焦点をしぼった内容だ。勝のとぼけたようで核心を突いた話術と二人の誠実性があってはじめて成し遂げた無血開城となった様子がうかがえる。海舟は慶喜の気まぐれにつきあわされながら利用されたり、お役御免にされながらも上様のためではなく国を思う信念で働き続けた。一方徳川に代わって薩長の私利私欲にまみれた政権に愛想を尽かした西郷は自刃して果ててしまった。一人の麒麟児が死んでしまって一人残された海舟は思う。俺たちが死んだ後、この国を支えてくれる子らがきっといい国にしてくれる。そう信じながら二人とも働いてきたんだ。俺はもう少し世の残って働きますよ、西郷さん。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント