夏川草介 「神様のカルテ3」

本庄病院の副部長の古狐副部長が亡くなって、更に忙しい日々を送っていた。内科部長の大狸先生が昔面倒を見た小幡医師を北海道の病院から連れてくる。超音波内視鏡の技術を持った日本でも最優秀な消化器内科の美人女医だ。ところが、まわりの医師達がてんてこ舞いしているのにどうも患者を区別しているようで、看護師達にあまり評判よくないらしい。患者が重篤な状態になっても真剣に診ようとしなかったり、適当に指示して自分は研究論文を書いている場合があるという。
 脳症の重症度を見逃したり、黄疸を見逃したりの小幡医師の処置に疑問をを感じ、栗原は医師として患者を取捨選択するのはどうかと正すのである。ころが栗原医師は小幡医師に逆にやり込められてしまう。何度も何度も酒を止められず再入院を繰り返すような患者を診るよりもやらなければならない大事なことがあるのではないか。身を粉にして夜昼なく働くだけの栗原医師は偽善者タイプの医師だと言われてしまう。医師の無知は悪であり、犯罪者なのだと。確かにこの病院は365日、24時間稼働というポリシーがある。医師の指示も守らずどうしようもない患者までこのような診療を続けていて果たしてそれでいいのだろうか。後に昔小幡医師が未熟だったが故に自分の夫を誤診の結果死なせてしまったことの後悔から医者はどうあるべきかという最も大切な哲学を持つことになったのであった。医学は日進月歩であり、それに遅れをとってしまい知らなかったでは済まされない。小幡医師にやり込められた栗原は全く反論できず反省するのであった。後に大学の医局に戻って再勉強することになる。小幡医師の誤診というのが自己免疫性膵炎と膵癌、胆管癌の違いの誤診で癌を膵炎と見誤ったというのである。自己免疫性膵炎と診断し、膵炎なら薬剤で治療できるという判断で薬剤処法を続けているうちに全くよくならず悪くなる一方で手遅れになってしまったのだ。膵臓膿疱には癌細胞が潜んでいても外からは分からない場合も多いらしい。手術してはじめて分かることも多いという。この判定は今現在ももっとも難しい診断らしい。
 この本を読みながら我が家の隣人が茅ヶ崎市立病院で自己免疫性膵炎と誤診され、東京女子医大に転院して胆管癌と診断され即手術して助かった例がある。あのとき病院を変わるのをいやがったお年寄りの患者を私が説得して転院させたことは自分としてもあのお節介してよかったと思っている。その前に国立がんセンターが手術をどうしてもしなかったとき有明癌研究所に転院して助かったということがあったから尚更である。命に関わる病気について患者自身が勉強してよく知るように努力すべきという見本であろう。この本読んでよかった。自分が経験しているので尚更である。
 病院のあり方、医師のあり方を考えさせられる一冊であった。なお、この本には栗原医師の細君が世界でも有名な山岳写真家であったり、同期の進藤医師、砂山外科医、看護師達たちの話や、恋の芽生えなど絡んだ内容だが、ブログのアブストラクトでは省略した。

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